「ぜひ」と「必ず」使い分け―教え方
「明日はぜひ作文を出します。」「今日は遅刻してすみません。これからはぜひ早く来ます。」のように「ぜひ」と「必ず」が使い分けられていない学生が多いです。
また「「ぜひ」と「必ず」は何がちがいますか?」と聞かれることもしばしば。
初級レベルの学生にもわかりやすく説明する方法を提案します!
「ぜひ」と「必ず」の違い
1.ぜひ来てください。
2.必ず来てください。
1も2も正しい日本語ですね。でも意味は違います。前後の文脈を考えると
1.→週末私の家でパーティーをするので、ぜひ来てください。来てくれたら嬉しいです。
2.→来週の月曜日はビザ更新の説明会があります。説明を聞かないとビザの更新ができなくなるので必ず来てください。
1の方は「あなたが来たら嬉しい!」「来てほしい!」という気持ちが見られます。一方2の方には来てほしいかどうかは関係なく、来なければならないという義務感があります。
もう少し違いを考えるために、非文を作ってみましょう。
1.
〇国から友達が来るので、ぜひ会いたいです。
?国から友達が来るので、必ず会いたいです。
2.
〇明日までに必ずこの作文を出します。
×明日までにぜひこの作文を出します。
辞書の上での意味を確認してみると
必ず…100%の確率で、その事柄・状態・状況が成立することを表す。当然の義務として・頼まれた限りは何があってもといったニュアンスがある。
ぜひ…人が「是(オーケー)」と言おうと「非(ノー)」と言おうと、その事柄・状況の実現を強く希望する・懇願するという意味を表す。
共通点は何が何でも~する、ということ。違いは「必ず」のほうは義務であること、しなければならないことで、「きっと」のほうはしたい、そうなってほしいという希望があること。
教案例
ぜひ①「~をしたい」という気持ちが強くある。
T:S1さん、いっしょに〇〇(S1が好きな物)を食べに行きませんか。
S1:はい!行きましょう!
T:行きたい気持ちは大きいですか?
S1:はい。とても行きたいです。
T:提示 ぜひ行きたいです。
(他にも学生が行きたいところやライブ、イベントなどを誘って「ぜひ~たい」で答えるように促す。)
ぜひ②「ぜひ~ください」で相手に「~してもらいたい」という気持ちがある、相手が~しないと困る、残念
T:S1さん、誕生日はいつですか。
S1:〇月〇日です。
T:S1さんの誕生日パーティーをします。誰が来ますか?誰に「来てください」とお願いしたいですか。
S1:S2さんに
T:S1さんはS2さんが来たら嬉しいですね。「来てください。お願いします」気持ちは?
S1:大きいです。
T:提示 S2さん、ぜひ来てください。
(他にも一生懸命作った料理を「どうぞ!」と言いたいときに、「ぜひ食べてください」、おすすめの漫画や映画などを教えて「ぜひ読んで(見て)ください。」など)
「必ず」との違い
T:暑い時、帽子をかぶりますか。
S1:はい。
S2:いいえ。
T:バイクに乗る時、ヘルメットをかぶりますか。
Sa:はい。
T:ヘルメットが好きじゃなかったら、かぶらなくてもいいですか。
S:いいえ、かぶります。ぜひかぶります。
T:「ぜひかぶります」?ヘルメットがかぶりたいからかぶりますか。好きですから、かぶりますか。
S:いいえ。好きじゃありませんけど、かぶります。
T:そうですね。バイクに乗る時、必ずヘルメットをかぶります。
(車に乗る時、必ずシートベルトをします。)
義務とは違う話題としては、
・寝る前に必ず歯をみがきます。
・家を出る前に、必ず窓を閉めます。
・日本では家に入る前に必ず靴を脱いでください。
など習慣なども入れてもいいと思います。
ポイントは「ぜひ」のほうは「したい」「してほしい」という気持ちが伴うこと、「必ず」は「しなければならない」「したいかしたくないかは関係ない」ということです。
ぜひこの2つの違いの教え方の参考にしてください。